台湾のむかしばなし、虎姑婆(トラババ)
絵:いのう みどり
從前從前在台灣某個深山的村落,住著一戶媽媽和姐弟的人家。
有一天媽媽有事要到遠方的親戚家,必須出門離開山上。
「媽媽今晚怎樣都趕不回家,你們兩個可以看家嗎?」
弟弟說:「媽媽不在我會擔心!」姊姊說:「沒關係!我在!」
「你們兩個無論誰來都不可以開門!說不定來的是可怕的虎姑婆!明天媽媽就趕回了, 要好好看家喔!」 說完媽媽就出門了。
媽離開家門後,姐弟兩人非常不安,早早就上床準備睡覺。
不知過了多久,門外傳來「咚!咚!」響聲。
「姊姊!好像有人來!」「你聽錯了吧!快睡!」
「咚!咚!咚!」「真的有人來!」 「誰啊?」
於是門外傳來嘶啞的聲音:「開開門~,我是你姑姑!」
姊姊說:「我不能開。媽媽說無論誰來都不可以開門。」
「姊姊,是姑姑…」弟弟很擔心的說著。
「姑姑是受你媽媽拜託來照顧你們的,開門吧!」
姊姊以為是媽媽拜託的,就開了門。於是一頭白白散髮的老太婆迅速進了門。
「孩子們,不用擔心了,今晚就由我陪你們睡覺吧!」弟弟聽了很開心就決定和老太婆一起睡。
當晚,姊姊聽到喀喀咬東西的聲音就驚醒,來到老太婆和弟弟睡覺的房間,看到老太婆好像正在吃什麼。
「姑姑,你在吃什麼?我肚子也好餓,給我吃一點!」 「哼!吃吧!」老太婆丟了一塊東西過來。
姊姊撿起來仔細一看,竟是弟弟的手指頭。是虎姑婆~,怎麼辦,是媽媽曾說過的會吃人的虎怪,弟弟被吃了,接下來一定換我。
姊姊很聰明。假裝沒有注意到。
「姑姑,我想尿尿。」說完就快速跑到門外茅廁,攀上旁邊的大樹躲著。
等了好久都不回來,虎姑婆就到外面去找。
茅廁周圍繞了一圈,突然往水缸一望,月光照耀下,水面映著樹影,虎姑婆抬頭一望,看到了藏在大樹裡的姊姊。
「丫頭,給我下來,看我一口把你吃掉!」虎姑婆發出恐怖的嚎叫聲。
姊姊好害怕,發著抖求虎姑婆說:「反正你就要吃我了,吃我之前請給我最愛的豆油喝吧!」
「我喜歡喝熱騰騰的油,喝一口我就下去。求求你你到廚房用油鍋燙熱一下,再整個油鍋拿給我。」虎姑婆就照著姊姊說的到廚房燙油,將油鍋端到樹下,再用姊姊吊下來的繩子綁住送到樹上。
「快喝!喝了立刻給我下來!」姊姊迅速的把油鍋拉上來,一邊假裝在喝一邊觀察狀況。
「在做什麼?還不趕快給我下來!」虎姑婆張開大口說著的時候,姊姊對準虎姑婆的口將油鍋翻倒下來。
喝了滿嘴熱油的虎姑婆,發出痛苦的聲音在地上翻滾,噗通一聲臥倒在地死了。
隔天早上媽媽回來。
「媽媽~」姊姊看到媽媽就抱著哭起來了。
這故事不知不覺傳遍整個台灣,大家努力消滅老虎,聽說之後,老虎就消失了。
むかしむかし、台湾の山奥の村に、姉と弟が、お母さんといっしょに住んでいました。
ある日、お母さんは遠くの親戚の用事のために、山を越えて、出かけることになりました。
「お母さんは、どうしても今晩中には帰ってこられないけれど、二人でお留守番ができるかしら」
「ぼくは、お母さんがいないと、心配だなあ」と弟が言いました。
「大丈夫よ、私がいるから」と姉が言いました。
「ふたりとも、誰が来ても、戸を開けてはいけないよ。怖いトラババが来るかもしれないからね。あしたは、急いで帰ってくるから、お留守番、お願いね」お母さんは、こう言って出ていきました。
お母さんが出かけてしまうと、心細くてたまらない二人は、早く寝てしまうことにしました。
どれくらい時間が経ったのでしょう。
「トン トン」と戸を叩く音がします。「お姉ちゃん、だれか来たようだよ」「気のせいよ。寝ましょう」「ドン ドン ドン」「誰か来たよ」「誰でしょう・・・・」「開けておくれ。私は、お父さんのお姉さんだよ」しわがれた声が聞こえます。「お母さんが『誰が来ても戸を開けてはいけない』と言ったので、開けません」と姉が言いました。「お姉ちゃん、お父さんのお姉さんだって・・・」と、弟が心配そうな顔で言うと「私はお母さんに頼まれて、あんたたちの世話をするために来たんだよ。開けておくれ」という声が聞こえます。お母さんに頼まれたのなら、と思った姉は、戸を開けました。
すると、真っ白な髪を振り乱したおばあさんが、さっと家の中に入ってきました。「さあ、もう心配はいらないよ。今夜は、いっしょに寝てあげるからね」と言うので、弟は喜んで、おばあさんといっしょに寝ることにしました。
その晩のことです。「カリ、ポリ、カリ、カリ、ポリ、ポリ」という音で、姉は目が覚めました。おばあさんと弟が、いっしょに寝ている部屋をのぞくと、おばあさんが何かを食べています。
「おばあさん、何を食べているの?私もお腹がすいたので、ちょうだい」と言うと、「ほれ!」と言って、おばあさんが何かを投げてよこしました。姉が拾って、よく見ると、それは、弟の指でした。
「トラババだ。どうしよう。お母さんが言っていたトラの化け物だ。弟が食べられてしまった。次は私が食べられてしまう」
姉は、賢い女の子でした。何も気が付かないふりをして、「おしっこに行きたい」と言いました。そして、急いで、家の外にある便所のそばの大きな木に登りました。
いくら待っても、姉が戻ってこないので、トラババは姉を探しに外に出ていきました。
便所をのぞいても、姉の姿がありません。
「どこへ行った、出てこい」とうなり声をあげながら、便所の周りをぐるぐる歩き回っています。
ふと、手水鉢を見ると、月明かりに照らされて、何かが映っています。上を見上げたトラババは、大きな木に隠れている姉を見つけました。
「やい、降りてこい。一口で食べてやる」と、恐ろしいうなり声をあげました。姉は恐ろしくて、ガタガタ震えながら、「食べられても仕方がありません。でも、その前に、私の大好きな豆の油を飲ませてください」と頼みました。「私は、熱い油が好きなんです。それを一口飲んだら、降りていきます。どうか、台所で油を沸かして、その鍋を持ってきてください」
トラババは言われた通り、台所で油を沸かし、その鍋を木の下に持っていき、姉がぶら下げたひもに鍋を括りつけました。
「早く、油を飲め。飲んだら、すぐに降りてこい!」
姉はすばやく鍋を引き上げました。そして、飲んでいるふりをしながら、ようすを見ていました。
「何をしている!早く、降りてこい!」とトラババが大口をあけて、上を見上げたとき、姉はトラババをめがけて、鍋をひっくり返しました。煮えた油を飲まされたトラババは、恐ろしい声をあげて、のたうち回ったかと思うと、どさっと倒れてしまいました。
次の朝、お母さんが帰ってきました。「お母さ―ん」姉はお母さんにしがみついて、泣きました。
この話が、いつのまにか台湾中に広がり、みんながトラを退治するようになりました。それ以来、台湾には、トラが一頭もいなくなったそうです。
おくづけ
台湾のむかしばなし「虎姑婆(トラババ)」中国語、日本語
文:多言語絵本の会RAINBOW
絵:稲生みどり
中国語翻訳と朗読:蔡 淑芬
日本語朗読:野中健吉
音楽:秋山裕和
企画:にほんごの会くれよん
制作:多言語絵本の会RAINBOW
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