「キジ と ニワトリ 」
文 ・ 絵:片桐早織
まえがき
ニワトリは なんて 鳴くかな?
コッコー? コッカドゥドゥドゥ? コケコッコー? それとも…
どうして ニワトリは、こんな ふうに 鳴くのかな?
その わけはね…
むかし むかし その 昔。まだ この 国が 生まれて 間もない ころ。
まだ 大地が しっかりと 固まって いなかった ころ。
たくさんの 鳥を 飼って いる 神さまが いました。
ある 日の こと、神さまは ふと 思いました。
こんなに たくさんの 鳥が いて、食べ物が 足りなく ならないかな?
そこで、キジを 呼んで 言いました。
「これこれ、キジや、ごらん。あそこに できたばかりの 土地が ある。行って 土が 乾いたか、草が 生えたか、見て おいで。そして すぐに 知らせるのだよ」
「ケーン ケーン。はい、神さま、行って まいります」
キジは すぐに 出かけて いきました。
着いて みると、その 土地は いい 具合に 固まって、草が 青々と 生えて います。そして、食べ物が いっぱい!
「わぁ、すごい ごちそう!」
キジは 神さまの 言いつけも 忘れて、夢中に なって 食べはじめました。
「むしゃむしゃ もぐもぐ 、むしゃむしゃ もぐもぐ、 おいしいなぁ おいしいなぁ・・・ むしゃむしゃ もぐもぐ 、むしゃむしゃ もぐもぐ・・・ ふううう・・・ もう お腹 いっぱい・・・ 眠くなって きたぞ・・・」
キジは ぐぅぐぅ 寝て しまいました。
さて、神さまは キジの 帰りを 待って いましたが、いくら 待っても キジは 帰って きません。
困った 神さまは、今度は ニワトリを 呼んで 言いました。
「これこれ、ニワトリ、ごらん、あそこに できたばかりの 土地が ある。行って 土が 乾いたか、草が 生えたか、見て おいで。そして すぐに 知らせるんだよ」
「コッコッコッコッコッコ ! はい、 神さま、行って まいります」
ニワトリは すぐに 出かけて いきました。
着いて みると、その 土地は いい 具合に 固まって、草が 青々 と 生えて います。
ニワトリは、さっそく 足を 片足ずつ 土の 中に さしこみました。
そうして、きちんと 土が 固まって いるか、調べはじめました。
「よしよし、ここは、固まった… よしよし、ここも、固まった…」
そして…
ココ ケッコウー!
と 叫びました。
ここ けっこう、ここ、結構・・・ つまり 神さまに、「ここは 結構、大丈夫ですよ」と お知らせしたんですね。
その 知らせを 聞いた 神さまは、すぐに 鳥たちを、その 土地へと 送り出しました。
ニワトリが 今も 土を そろりそろりと 踏んでは、 「ココ ケッコー!」と 叫ぶのは、その 時の ことを、思い出して いるんですって。
おくづけ
日本の昔話「キジ と ニワトリ」
中野ミツさんの語りより
文・絵・朗読:片桐早織
音楽:秋山裕和
制作:多言語絵本の会RAINBOW
この作品は、販売、改作、改変できません。